
苔とベンザルコニウム|見えない脅威とその向き合い方
苔のある暮らしは、静けさと癒しを私たちにもたらしてくれます。ミクロの森のような苔テラリウム、ベランダでの苔盆栽、庭石に自然と生えた苔の風景。そんな繊細で美しい苔の世界に、意外な落とし穴があることをご存知でしょうか?
その一つが「ベンザルコニウム」という成分です。
兵庫県(関西)の苔テラリウムワークショップ体験&販売なら「ちいさな苔屋さん」
苔伝道師の増田(まっすん)です。

今日は「苔の豆知識」をお伝えしていきます♬
▼ 【大阪・関西万博】に採用され「サンテレビ」に取材されました! ▼
ベンザルコニウムとは?
ベンザルコニウム(Benzalkonium chloride)は、主に消毒液や殺菌剤に含まれる界面活性剤の一種で、医療機関や家庭でも幅広く使用されています。
スプレータイプの除菌アイテム、ウェットティッシュ、ハンドソープ、カビ取り剤などに含まれており、「除菌」「抗菌」を謳う製品の多くに配合されています。
一見、苔とは無縁に思えるこの成分ですが、実は私たちの生活の中で、知らぬ間に苔に悪影響を及ぼしているケースが少なくないのです。
苔にとってのベンザルコニウムのリスク
1. 微生物のバランスを崩す
苔は単独で生きているわけではありません。土壌中や苔の表面には、共生するバクテリアや微細藻類が存在しており、その微生物たちと共にバランスをとって成長しています。
ベンザルコニウムは、こうした微生物にも強い殺菌作用を発揮します。つまり、苔の「見えないパートナーたち」をも一掃してしまう可能性があるのです。
2. 苔の細胞膜にダメージを与える
苔の表面は非常に薄く繊細な細胞層で覆われており、水分の吸収・蒸散を繰り返しながら生命を維持しています。ベンザルコニウムの界面活性作用は、この細胞膜に直接ダメージを与えることがあり、苔が茶色く変色したり、成長が止まってしまうことがあります。
3. 空気中からの拡散にも注意
スプレー型の消毒剤を室内で使用すると、微細な成分が空気中に舞い、それが苔に付着してしまうこともあります。特にガラス容器に入った苔テラリウムの場合、外気と遮断された空間においては、ベンザルコニウムが残留してしまうリスクも否定できません。
ベンザルコニウムが苔に入り込む場面とは?
以下のような日常の行動が、知らず知らずのうちに苔にダメージを与えている可能性があります。
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ウェットティッシュで手を拭いた直後に苔に触る
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除菌スプレーを使用した直後の手で水やりをする
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空間除菌アイテムを近くで使用する
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ベランダの手すりや床を抗菌洗剤で掃除し、その上に苔盆栽を置く
こうした些細な行動が、数週間~数か月後に苔の元気を損ねているケースがあるのです。
苔を守るためにできること
1. 使用製品の成分表をチェック
苔の近くで使用するスプレーやウェットティッシュの成分表示を確認しましょう。ベンザルコニウム塩化物(Benzalkonium chloride)が含まれていない製品を選ぶことが第一歩です。
2. 自然派アイテムへの切り替え
重曹やクエン酸、アルコール濃度の低いエタノールスプレーなど、自然にやさしい洗浄アイテムを選ぶことで、苔への影響を最小限に抑えることができます。
3. 苔との接触前に手を洗う
「苔を触る前には、必ず水だけで手を洗う」
この習慣をつけるだけでも、化学物質の付着をかなり減らすことができます。
4. 苔の様子を日々観察
苔の色が褪せてきたり、乾燥しているのに水を弾いてしまう状態になっていれば、化学成分の影響が疑われます。早めに環境を整え直すことで、回復の可能性も高まります。
苔と人の生活を両立させるには
現代の暮らしは「除菌」「抗菌」が前提となっている場面が多く、完全にベンザルコニウムを避けることは難しいかもしれません。それでも、苔を育てる空間に限っては、極力ナチュラルでクリーンな環境を整えることで、苔の健康を守ることができます。
苔は、見た目の美しさだけでなく、「環境の変化に敏感な存在」として、私たちに多くのことを教えてくれます。
ベンザルコニウムという現代の成分との向き合い方を通じて、改めて“自然と共に暮らす知恵”を学んでみてはいかがでしょうか。

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