
テラリウムに虫は必要?いない方がいい?——美しい小さな森を守るための「テラリウムと虫」完全ガイド
テラリウムづくりを楽しんでいると、ある日ふとガラスの中を覗いて「ん?」と気づく瞬間があります。
苔の間をスルスルと動く白い小さな粒。ガラス面に付く黒い点。フタの裏に何かがいる……。
「これって虫?大丈夫なの?」
「テラリウムの虫って駆除すべき?そのままにしていい?」
今回は、苔テラリウムを長年制作・販売し、毎月数百の作品を管理する立場から、テラリウムに発生する虫の正体・役割・駆除・予防まで、徹底解説していきます。
自然の縮図であるテラリウムだからこそ、虫の存在は“よくある相談”です。
この記事を読めば、「虫が出たらどうしたらいいの?」という不安がすっきり解消されるはずです。
1. テラリウムに虫が発生する理由——なぜガラスの中に?
テラリウムは言わば「小さな森」。
湿度が高く、植物と微生物が共存する環境は、虫にとっても快適です。
虫が発生する主な理由は次の4つです。
(1)植え付け時に外から持ち込まれる
もっとも一般的なのがこれ。
苔や土には、目に見えない卵・微小生物・ダニ類が自然に付いています。
特に採取したばかりの苔、屋外の土や枯れ葉は虫の「温床」になりがちです。
(2)肥料や腐葉土、流木に潜んでいる
市販の園芸用土や流木にも、まれに微生物や卵が混入しています。完全に無菌ではありません。
(3)家の中の虫が入り込む
ショウジョウバエなどが湿った環境に惹かれ、コルク栓のすき間やフタの穴から侵入するパターンもあります。
(4)環境が虫にとって最適
高湿度・風通しが悪い・水分過多・枯葉が多い——
これは虫にとって「天国」。繁殖もしやすくなります。
2. テラリウムでよく見られる虫の種類と特徴
ここでは、テラリウムでよく相談を受ける生き物を紹介します。
① トビムシ(スプリングテール)
「白い点がぴょんぴょん跳ねている」→ほぼこれ。
大きさは0.5~1mmほど。害はなく、むしろカビを食べて分解する働きがあります。
● 見つけたらどうする?
環境が整っている証拠なので、そのままでもOK。数が増えすぎると見栄えが悪いので調整が必要。
② ダニ(特にヒメダニ類)
「白い点がゆっくり動く」「ガラス面に付く」→ダニ類の可能性大。
ただしテラリウム内に多いのは植物食ではなく、腐葉分解系の無害タイプです。
● 注意点
観葉植物につくハダニとは別物。
苔や植物を弱らせるケースは少ないですが、増えすぎると不快感が出る。
③ ショウジョウバエ
甘い匂いに反応し、コルクの隙間から侵入。
卵からウジが発生することもあるので、なるべく早めの対処を。
④ キノコバエ
湿った用土を好むハエ。
苔には無害ですが、家の中を飛び回るため厄介。
⑤ チョウバエ
排水口にいるような小バエで、湿気が多い環境を好みます。
テラリウムにいる場合は、水分過多のサイン。
⑥ ワラジムシ・ダンゴムシの幼生
外の土を使った場合に稀に混入しています。
苔を食べてしまうケースがあるため、早めに取り除くのがおすすめ。
3. テラリウムの虫は「悪」なのか?——共存と分解の仕組み
実は、苔テラリウムの世界では「虫=悪」ではありません。
● 自然の森では分解者として必須
トビムシ・ダニは自然界の“掃除屋”で、
カビ・腐葉土・落ち葉を分解して土の状態を整える役割を持っています。
テラリウムも自然の縮図なので、多少の虫は健康な森の証でもあります。
● 苔や植物を食べるタイプは少ない
一般的に苔を食べる虫は少ないため、
「苔が丸くえぐられた」などの症状がなければ心配ありません。
● ただし見た目の問題は大きい
虫がガラス面に多いと、鑑賞物としての価値は下がります。
ユーザーからすると「気持ち悪い」と感じるのも当然です。
4. 発生した虫への対処法——安全・確実に解決するステップ
虫が出ても慌てる必要はありません。
ここでは実際の現場で行っている方法を紹介します。
① トビムシ・ダニの簡単除去(最も効果的)
「水抜き方式」
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テラリウムを45°に傾ける
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霧吹きで水をガラス面に流す
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虫が水と一緒に端に寄る
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ティッシュで吸い取る
これを2〜3回繰り返すと、ほぼ消えます。
② 植物への影響がない環境改善
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水やりを減らす
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フタを少し開ける(湿度調整)
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枯れ葉を除去
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風通しの良い場所に移す
環境が整うと自然と減っていきます。
③ 小バエ(ショウジョウバエ・キノコバエ)の対処なら
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フタを密閉する
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周辺に甘い匂いの食品を置かない
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コバエ取り(市販のトラップ)を併用
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土を薄く交換する
特に甘いジュース・果物が近くにあると、急激に増えます。
④ 再植え付け・全面リセットが必要なケース
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幼虫が大量にいる
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苔が明らかに食べられている
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匂いが出ている
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黒いハエが繁殖し続ける
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触ると虫が大量に跳ねる
この場合は、土・苔・容器をすべて洗浄・交換するのが確実です。
5. 虫を「発生させない」ための予防策——最初が本当に大事
テラリウムは、作った直後の「初期設定」で虫の9割が決まります。
(1)苔をしっかり洗う
採取苔の場合は
①水洗い → ②手でほぐす → ③再度洗う → ④陰干し
ここまで徹底すれば、虫持ち込みは大幅に減ります。
(2)土を煮沸または電子レンジで加熱
加熱で卵を死滅させる方法はプロも使います。
(3)流木は一度熱湯にくぐらせる
漂白ではなく、加熱が一番確実。
(4)枯れ葉・腐葉土を入れすぎない
虫のエサが多いと繁殖しやすくなります。
(5)蓋の隙間をなくす
小バエは1mmあれば入れるので注意。
6. 虫の存在を“味方”にするテラリウムの考え方
虫は不快な存在に思われがちですが、見方を変えると学びにもなります。
● “生態系の縮図”を体感できる
テラリウムは本来、植物・微生物・水が循環する世界。
虫が分解者として働く様子は、森そのものです。
● 研究・観察として価値がある
トビムシやダニの観察は、理科教材としても人気。
子どもにとっては“自然のリアル”に触れる機会になります。
● 完全無菌より、自然に近い状態が長持ちする
プロの世界では「虫ゼロのテラリウムは逆に不安」とさえ言われます。
湿度バランス・カビ・枯れ葉管理など、自然の循環を虫も手伝っているからです。
7. 虫トラブルが少ない「管理しやすいテラリウム」の条件
長期維持を考えるなら、以下のポイントを押さえておきましょう。
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ガラス瓶は密閉できるもの
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水やりは少なめ
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常に光を当てる(LED・窓ぎわ)
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枯れ葉はこまめに除去
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苔は元気な株を使う
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土の量は少なく、清潔に
管理が整っているほど虫は減り、苔も長生きします。
8. まとめ——虫を恐れず、自然の循環を楽しむテラリウムへ
テラリウムの虫問題は、作家でも避けられない“自然の一部”。
大切なのは「正体を知り、慌てず対処する」ことです。
虫は必ずしも悪ではない。
けれど、美しさを保つためにはコントロールが必要。
このバランス感覚こそ、テラリウムを長く楽しむ秘訣です。
苔がふっくらと成長し、小さな世界が呼吸するように育つ——
その過程を見守るのは、テラリウムの最大の醍醐味です。
もし虫で困ったら、この記事を参考にしながら、
あなただけの“美しい小さな森”を取り戻してください。
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